MACHIKADO ― さあ、燃え尽きるまで笑え
NOT YOUNGMANのリーダーであり、すべての始まりを作った男――MACHIKADO(マチカド)。
彼が「バンドをやりたい」と思い立ったその瞬間、運命は勝手に転がり始めた。
誰に相談することもなく、誰の同意もなく、
彼は勝手にメンバーを集め、勝手にバンドを結成した。
その事実をメンバーが知ったのは、初ライブ当日のことだったという。
それでも彼らはステージに立ち、今に至る。
つまりNOT YOUNGMANは、MACHIKADOという一人の“無茶”から始まった物語だ。
■ 十代から走り続けた「無茶な生活」
MACHIKADOは十代の頃から、ライブハウスの空気で生きてきた。
眠らず、食べず、働かず、ただ音を鳴らし続ける。
青春をステージの明滅と酒の匂いに溶かしてきた結果――
彼は20代半ばにして、見事に落武者になった。
風が吹くたびに揺れる、少し寂しい前髪。
それでも彼は笑う。
「死んだ者は蘇らない。」
その言葉には、悟りにも似た静けさがある。
しかし同時に、燃え尽きるまで走りたいという若さも残っている。
■ ハゲても立ち止まらない理由
薄毛と戦い続けた彼は、あらゆる育毛法を試した。
ローション、サプリ、祈祷、逆立ち――そのすべてを経て、
いま彼はこう言う。
「今まだ俺を見捨てずに残ってくれてるこいつら(髪の毛)のためにも、立ち止まれねえから。」
その一言に、誰も笑えなかった。
彼にとって髪は、希望であり、仲間であり、音楽そのものだ。
どんなに風が強くても、
残ってくれた数本の毛と一緒に、今日も彼は生きている。
■ 弾けないリーダー
NOT YOUNGMANの全楽曲は、MACHIKADOが手掛けている。
作詞・作曲・構成・世界観――すべて彼の頭の中から生まれる。
しかし、彼はライブで一度もギターを弾かない。
なぜなら――
自分で作った曲が難しすぎて、弾けないのだ。
それでも、彼がステージに立つだけで、
バンドはまとまる。音が締まる。世界が回る。
彼が存在すること自体が、NOT YOUNGMANの音楽なのだ。
■ 「落武者」という生き様
MACHIKADOは、笑いながら破滅を抱きしめる男だ。
髪を失っても、夢は抜け落ちなかった。
彼の背中には、若き日の“無茶”がいまも息づいている。
「生きてる限り、音は出せる。
だから、死んだもん以外は諦めねえ。」
その言葉通り、彼は今日もステージに立ち、
風に逆らいながらギターを握る。
音は出さなくても、その魂が鳴っている。