RORITARO ― 静寂の中で笑うギタリスト
NOT YOUNGMANのギター担当、RORITARO(ロリタロウ)。
彼の周囲には、いつも不思議な空気が漂っている。
落ち着いた大人の余裕、少しけだるいまなざし、
そして、危うさを秘めた微笑み。
彼が一言話すたびに、
その場の時間がゆっくりと溶けていくようだ。
■ アンニュイと危険のあいだで
RORITAROは、静けさの中に熱を隠している。
どこか退屈そうでいて、何かを知っているような目をしている。
その視線に魅入られた人間は多く、
時に年齢も、常識も、理性すらも飛び越えてしまう。
「大人になるって、我慢することじゃない。
欲しいもんをちゃんと欲しいって言うことや。」
その言葉通り、彼は素直に生きている。
それが危ういほどに、魅力的なのだ。
■ 猫と木と、穏やかな生活
そんな危険な香りを放つ彼だが、
日常では“猫好きのおじさん”としての顔を持つ。
愛猫に名を呼ばれては、笑いながらDIYの手を止める。
自宅の壁を削り、棚を組み、
ときに木屑まみれでコーヒーを淹れる――
彼の生活は、静かな音楽そのものだ。
木の軋む音、猫の足音、
それが彼にとっての“リズム”であり、
ギターを弾かないギタリストの“音”でもある。
■ 「けっして、名前のRをLに変えてはいけない」
メンバーたちは、彼のことをこう噂する。
「けっして、名前のRをLに変えてはいけない。」
それを聞いた者は、意味を問わない。
問う必要がないのだ。
RORITAROという名は、バランスの上に立つ。
“ロマン”と“リスク”、
“理性”と“恋情”の間にある危うい線。
彼の存在自体が、
このバンドにおける“警告と誘惑”の象徴なのだ。
■ フライングVを鳴らさない男
RORITAROは愛用のフライングVを、ライブでは一度も鳴らさない。
理由はひとつ――彼はギターが弾けない。
だが、彼がステージに立つだけで、
空気が振動する。
その姿に、誰もが「音が聴こえた」と錯覚するのだ。
RORITAROにとって、ギターとは“鳴らすもの”ではなく、
存在を見せるための祈りの形なのかもしれない。
彼がピックを指に挟み、
フライングVのネックを軽く撫でる瞬間――
観客の鼓動がドラムの代わりに鳴り響く。
■ 危うく、美しく、愛しい男
RORITAROは、
音を出さないギタリストであり、
危険をまとう癒し系であり、
そして、猫を愛するリフォーム職人でもある。
彼の中にある静けさは、
まるで夜のジャズバーのように深く、
時折見せる笑顔は、
嵐の前のように穏やかで恐ろしい。
「音なんて出さなくていい。
聴こえるやつだけが、聴けばええ。」